確定拠出年金をご存知でしょうか?
決まった(=確定した)金額の掛金を毎月払い込み(=拠出),それを運用することで年金を増やそう!という制度です。
確定拠出年金のうち,企業が毎月の掛金を拠出する制度を企業型確定拠出年金(企業型DC),個人で拠出する制度をiDeCo (イデコ,individual-type Defined Contribution Planの略)と分類されます。
あなたが会社に勤めるビジネスパーソンなら既に企業型DCに加入されるかもしれませんね。
実は企業型DCはメリットが多くて非常にいい制度なんですが,あなたはそんな企業型DCのメリットを最大限に活かせていますか?
ぶっちゃけ会社に言われるがままになんとなく加入して,なんとなくおすすめの商品を選んだまま放置しちゃっていませんか??
それ,超もったいないですよ!
この記事では,企業型DCのメリットとデメリットについてまとめ,その上で僕が考えるメリットを最大限に活かす運用方法をご紹介します。
僕は一応企業型DCに加入して約10年経過しており,コロナショック明けの現在(2020/08)でも年利6.3%でプラスです。
他にもインデックスファンドやETFなどを中心に1400万円超の資産を現在運用しています。
そんな僕が「初心者の頃に知りたかったなー」と思った部分を重点的にまとめたので,ぜひ今後の見直しに活かしてみてください!
この記事はこんな方向けです:
- 企業型DCのメリットとデメリットを知りたい人
- 前払い退職金とどちらがメリットがあるのか知りたい人
- 入社時に適当に選んだまま放置してアカウントとパスワード忘れた人
- どんな商品を選べばいいか知りたい人
実は僕も3年くらい前までは放置しまくってた投資初心者でした…
企業型確定拠出年金の6つのメリット
僕が考える企業型DCのメリットは6つです。
- 掛金が非課税で拠出される
- 運用益が非課税
- 受け取り時にも税負担が軽減される
- 売買コストがかからない
- 自然と長期・積立運用になる
- 転職時も運用を継続できる
掛金が非課税で拠出される
まず前提として,資産運用するなら手数料と税金の二大固定費は極力低くしましょう。
株価の変動は誰にも読めませんが,手数料と税金は努力すれば誰でも抑えることができるからです。
その観点で企業型DCは,二大固定費のうちの税制面でかなり優遇される設計になっています。
まず,掛金が非課税で拠出されることですね。
例えば毎月1万円をDCとしてではなく,会社から給与に上乗せされる場合を考えてましょう。(前払い退職金)
給与には所得税がかかるので当然その上乗せ分にも所得税や住民税がかかります。
年収600万の人であれば所得税は20%の税率なので2000円が差し引かれます。
さらに住民税は10%なので1000円差し引かれますね。
税金以外にも給与からは社会保険料なども15%天引きされるとすると,全て含めると手取りは5500円になってしまいます。
その点企業型DCでは,1万円がまるまる受け取れて運用資金に使えます。
この時点でもうかなり差がついていると思いません?
運用益が非課税
たとえば毎月の会社からの拠出がトータルで100万円で,それを上手く運用したら120万円になったとしましょう。
プラス20万円ですね。
この20万円のプラスを運用益と呼びますが,企業型DCではこれも非課税です。
20万円をそのまま受け取ることができます。
普通は株式や投資信託などの金融商品を購入・運用して利益を得た場合,運用益に対して約20%の課税が科せられています。
なので普通の証券口座で運用したら20万円の20%で4万円は税金として徴収されます。
額が小さければ大したことはないですが,運用が上手くいってせっかく大きな利益が出たのに税金で持っていかれるのは悲しいですよね。
ぜひ活用しましょう。
受け取り時にも税負担が軽減される
企業型DCは年金なので受け取りは60歳以降となりますが,その時にも税負担が軽減されます。
受け取り方としては「一時金」か「年金」の2種類がありますが,いずれの場合であっても所得控除を適用することができます。
それぞれの控除の内容については複雑なうえに将来的に変更される可能性もあるので,ここでは詳細には触れません。
実際に受け取りが近くなってきたらその時の最新の情報をフォローすればよいでしょう。
売買コストがかからない
通常の投資信託の売買の際には買付手数料などのコストを証券会社に支払う必要があります。
なので,何度も購入や売却を繰り返すと手数料の分だけ損することになります(手数料負け)。
その点,企業型DCでは購入商品の変更を無料で行うことができるので好きなタイミングで自由に売買できます。
いくら無料とはいえ,何度も売買をすることは資産を作る上では好ましくはありません。
ただ,最初に慣れるまでの間は多少の購入商品の切り替えはあってもいいと思います。
そういう時に手数料がハードルにならないのは本当にいいですね。
上でお伝えした資産運用の二大固定費である手数料を低く抑えられるのでやはりおすすめです。
自然と長期・積立運用になる
投資の正攻法は長期・分散・積立ですが,企業型DCを活用すると自然と長期・積立運用になります。
先ほども述べたように自分で自分の年金の一部を作ることになるので,60歳まで運用を続けることになります。
その間会社からは毎月一定額が拠出され,それをコツコツと積立購入していくことになります。
つまり,企業型DCで投資を行うことはそれだけで正攻法ということです。
さらに十分に分散の効いたインデックスファンドを購入することで,投資の基礎をしっかり押さえた手法が完成しますね。
企業型DCは,投資初心者の方でも着実に資産を大きくできる制度といえるかと思います。
転職時も運用を継続できる
企業型DCは退職金の一部を会社から拠出されるので,転職を考えている方は気になりますよね。
結論としては転職後も運用を継続できます。
転職先に企業型DCの制度があれば手続きをすれば移管することができますし,制度がなくてもiDeCoの口座を自分で開設して移管できます。
今や終身雇用制は崩壊して転職が当たり前となった時代ですが,制度が時代に合っているのはいいことですね。
企業型確定拠出年金のデメリットは?【2つあります】
企業型DCのさまざまなメリットをご紹介してきましたが,ではデメリットはあるのでしょうか。
シンプルに「企業型DC加入後に損するかもしれない」という観点で,僕の目線ではデメリットは以下の2つだけだと思います。
- 60歳まで現金化できない
- ある程度の投資の知識が必要
60歳まで現金化できない
何度もお伝えしているように,企業型DCは結局自分の年金づくりのための制度なので,運用途中で現金化することはできません。
なので極端なことを言えば,59歳までは大幅なプラスの運用益を得ていたとしても,60歳以降でとてつもない暴落が来て一気にマイナス転落となってしまう可能性もゼロではありません。
途中の運用成績はただの数字なので,実際にお金を受け取るときに大きな資産となっていなければ意味がないですよね。
未来は読めないので暴落は防ぎようがなく,このリスクをどのように考えるかですね。
このデメリットに対する対策としては,1つは加齢とともに徐々に暴落リスクのない定期預金や債券などの比率を上げていくことです。
例えば30代はまだまだ資産を伸ばしたいので株式と債券を7:3ぐらいで購入していきます。
これが40,50代となったときには6:4, 5:5, 4:6…というように保有比率を変えていけばよいのです。
こうすることで,仮に受け取る直前で暴落となって株価が下がったとしても,変動のない債券の比率を高めておけばこれまで積み重ねてきた利益が減るのを防ぐことができますね。
頻繁に変える必要はないですが,定期的な見直しはしておいた方が無難かと思います。
ある程度の投資の知識が必要
上とも関連しますが,それなりにプラスの運用益を得たいのであればそれなりに投資の知識が必要です。
いくら企業型DCの制度がメリットが多く正攻法であったとしても,投資の一種であることは変わりないのでリスクはあります。
そのリスクを十分に理解せずに何となく始めると,暴落の際にこわくなって運用をやめて前払い退職金に変更してしまったり,変動の少ない定期預金などの商品に切り替えてしまったりしてしまいます。
このデメリットの根本は投資とは何か?を理解していないということです。
なので,それなりにご自身で本を読むなりネットで知識を得るなどして,投資の基礎は一度体系的に勉強されるとよいでしょう。
ここが少し面倒でデメリットに感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ全く難しくないので,ぜひチャレンジしてみてください。
ちなみに僕は下の本を読みました。
今はYouTubeなどでもカンタンに学べるので,本でなくても全然いいと思いますよ!
企業型確定拠出年金を最大限に活用する方法
企業型DCのメリットとデメリットを説明しましたが,ではその上でメリットを最大限に活かした投資手法とはどんなものでしょうか。
僕は以下を提案します。
- 比率は株式100%。海外の比率を多めで
- インデックスファンドのみ。アクティブファンドは不要
- 債券や定期預金を混ぜるなら企業型DC以外で
- バランスファンドを買うなら自分でポートフォリオを組んだ方が得
まず前提として,企業型DCのメリットとしてはやはり税制面で,非課税期間が長いことが挙げられます。
似たような制度にNISAがありますが,非課税期間は一般NISAで5年,つみたてNISAでも20年です。
企業型DCは入社から退職までなのでざっと35年以上はありますね。
なので大きくプラスになった運用益をなるべく非課税で受け取れるように,株式を100%の比率で購入することをおすすめします。
大きく分けると日本向けと海外向けのファンドがあるかと思いますが,今後の成長性を考慮すると海外向けの比率は高くしておいた方がよいです。
僕も現在の購入比率は100%海外株式のインデックスファンドです。
アクティブファンドも購入の選択肢にあるかもしれませんが,手数料も高いですしシカトでよいでしょう。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いについては以下の記事でも解説しています。
100%株式というとリスク高めじゃない?定期預金とかも入れてリスク減らしたいよ,という方は企業型DC以外で設定するのはいかがでしょうか。
企業型DCで50万円ずつ株式ファンドと定期預金を購入するのと,企業型DCで100万株式ファンドを購入して銀行で定期預金を100万円設定するのは,比率はどちらも1:1で一緒ですよね。
わざわざ企業型DCで無リスク資産を購入する必要はないのです。
特に20-30代の若いうちは暴落が来ても坦々とインデックスファンドを積立購入しているぐらいでちょうどよいかと思います。
あと,バランスファンドという便利な商品もありますが,僕はあまりおすすめしません。
株式や債券を一定の比率で混ぜてリスクを調整したファンドですが,手数料は高いうえに自分で比率をコントロールできないという欠点があります。
上の企業型DC外で定期預金を購入する等でポートフォリオの調整は可能なので,なるべく自分の資産の比率は自分でコントロールするのがよいと思いますね。
まとめ:NISA等の他の制度もフル活用して資産を増やそう
企業型DCのメリット・デメリットや,メリットを最大限に活かした運用方法をお伝えしてきました。
確定拠出年金は非常にいい制度ではありますが,拠出限度額がそこまで高くないためこれ一本で老後資産を作れるかというとちょっと難しいと思います。
ある程度は運用資産額が大きくないとリターンも大きくなりにくいです。
そこで,さらに提案したいのはNISAなどの他の制度もフル活用することですね。
企業型DC以外にも節税できる制度はまだあります。
こちらの記事で解説しているので併せてどうぞ。
それぞれの制度の長所を上手く組み合わせて着実な資産の拡大を目指しましょう!
最後までお読み頂きありがとうございました!
コメント